あかざわひろしの宝石人
(Hiroshi Akazawa)
宝石とはあなたです
顕微鏡の向こうには、宝石の生い立ちがありました
数え切れないほどの宝石たちと出会ってきました
宝石セミナーも数多く行いました
数え切れないほどの人たちと出会ってきました
ある日のこと、フトしたことに気が付きました
宝石が人に。。。人が宝石に。。。思えたのです
「あいつは、ガーネット こいつは、トルコ石」
「なんだ!!みんな宝石?」
あなたのまわりにもいるはずです
「宝石なやつは」
「おやっ?」と思ったら「あいつは何の宝石かな?」
と、想像して見て下さい
そんな「宝石な人」を紹介します
人はみんな宝石ですからきっとそう思えるはずです
『宝石とは』
宝石は鉱物です
しかし鉱物は全てが宝石とは呼ばれません
ある条件を持ったものだけを人は宝石と呼んでいます
①美しさ
②希少性
③耐久性
これらが一番大きな条件です
いまから十数年前、私は友人の結婚式でスピーチを頼まれました
前日まで何を喋ろうかと悩んでいました
ドキドキ・ドキドキ・・自分の番がやってきました
緊張を抑える為にだいぶ飲んでいたのでマイクの前に立ったときは
覚えたことを忘れてつい言ってしまいました
「彼、新郎はまさしくダイヤモンドです!!」
言った後、「しまった」と思いましたがもう遅い
彼には、①の美しさがない・・・お世辞にも
「彼は、ごらんの通りがっちりした体格の持ち主です。
病気ひとつしません!!
耐久性は申し分ありません
また、面倒見も良くそこらへんにゴロゴロいるような男でもなく希少性バツグンの人間です
最後の条件は美しさですが
ご覧のとおり希少性バツグンです
いやいや 人の役に立つことを率先して行動する
え~と
ごめんなさい
ひとつ足りません
だから、ダイヤはダイヤでも工業ダイヤです
固くて人の役に立つ地球上一の工業ダイヤです
みんなをぴかぴかに磨いてくれる彼は丈夫で長持ち!!
死ぬまで回りの人たちは輝き続けること間違いなしです
だから、新婦になる○○さんはいつまでも輝き続けるでしょう!!
おしあわせに。。。」
思いのほか笑いと拍手をもらいました
これが最初です。。。宝石って、人と同じと思ったのは
美しくなくても愛しい宝石もあるように
あなたのまわりにも、欠点があっても愛しい『やつ』っていませんか?
『ダイアモンドとは』
ダイヤは丈夫だと言うのは、誰もが知っています
ダイヤの成分が炭素であることもほとんどの人が知っています
同じ炭素から出来ている鉱物にグラファイト(石墨・黒鉛)があります
鉛筆の芯だと思ってください
ダイヤと鉛筆の芯
もって生まれたのは同じなのですが
見た目も硬さもまったく違います
鉛筆の芯が硬かったら。。。。字が書けません
ダイヤが柔らかだったら。。。物が削れません
この両者の違いは環境です
環境が両者を分けました
ダイヤは、最低でも2000℃、70,000気圧程度の高温高圧条件が必要です
過酷な世界ですね
でもそのかいがあって、炭素原子が密集し原子同士が
縦、横、斜めに手を取り合いました
これを、共有結合といいます
これがダイヤの硬さの秘密です
人も同じことが言えます
あいつら同じ物持っているのに何であんなに違うんやろ。。。
それは、人と人の結びつきにあります
共有結合ですね。
友達の付き合いだけじゃぁなく、縦、横、斜めの付き合い
上司、部下、先輩、後輩、親、子供、兄弟、etc...
しかも、親密となれば強いです
その親密さは、曇りがなくクリアであればあるほど高価な宝石品質だと思います
鉛筆の芯は柔らかだから。。。字が書けます
ダイヤモンドは硬いから。。。永遠です
いるでしょう。。。そんな『ひと』
写真は宝石用でないダイヤの原石です
人は宝石の何を見て美しいと感じるのでしょうか?
宝石の色
宝石の透明度
宝石のカット(バランス)
もうひとつ、聞きなれない言葉ですが『特殊効果』と言う美しさがあります
色、透明度はその宝石が持って生まれたもの
カットはひとの手により生まれたもの
『特殊効果』は???その中間ですね
持って生まれてきて、人により見出された美しさって言う感じです
『特殊効果』って言えば何かわかりづらいので、
9つある『特殊効果』の中で有名な例をひとつ取ってお話しましょう
『宝石の条件について』
『キャッツアイ』って知っていますか?
『キャッツアイ』は宝石の名前ではなく『特殊効果』の名前なのです
猫の目のような光の帯がでる現象をシャトヤンシー(キャッツアイ効果)と言います
『キャッツアイ』がでる一番高価で有名な宝石がクリソベリル・キャッツアイで。
そのほかにもトルマリン、アパタイト、エメラルド etc 沢山あります
何故、このような光の帯が出るのかというと
内包物(インクルージョン)に原因があります
宝石の美しさが透明度だとすると
内包物があると透明度が失われるため、大きなマイナス要因になります
内包物は、宝石にとって大きな低品質の要因で。
しかし、この内包物は針状で同じ方向に並んでいます
サラッとした女性のロングヘアーを想像してください
頭のちょうどカーブしたところに光があたると髪のラインに直角の光の帯がでます
これが、『キャッツアイ』です
宝石もカボションカット(ドーム型)にすると針状内包物の方向に対して直角に光の帯が出ます
欠点を長所に変えた瞬間です
『特殊効果』は人で例えるなら特技、技能かもしれません
持って生まれた素質と人により磨かれ見出された、その人の個性だと思います
字がきれい、ピアノがうまい、語学が堪能、スポーツ万能、etc
その特技、その魅力でより輝くやつ。。。
それが特殊効果で。
あなたの周りにもいませんか?そんな、『特殊効果』なやつは。。。
『宝石の条件』
宝石は美しくなければならない
でもそれだけだと沢山ありますね
花、花火、空、海、山、etc それぞれ美しさの感じ方は違うけれど、美しいです
しかし、それは一瞬であったり、表情が変わったり
永くは続きません
いや、感動が一瞬だから美しいのかも知れません
宝石の場合は永遠の美しさを求めました
それが耐久性です
耐久性には、次の3つの意味があります
硬度(Hardness)・・・引っかき、磨耗などによる強さの度合い
靭性(Toughness)・・・衝撃に対する強さの度合い
科学的安定性・・・・・紫外線、薬品などに対する強さ
耐久性・・・『強さ』と言ってもいろんな『強さ』があるでしょう
ガードが固かった娘が意外にもろかったり
普段おとなしい娘がしっかりものだったり
努力家の粘り強い娘だったり
周りの環境に左右されない自分をしっかり持った娘だったり
人にもいろんな強さがあります
ひとつの強さ、目に見える強さだけが本当の強さとはいえません
『ガーネット』
ガーネットと言えば、茶褐色の色をイメージする方が多いと思います
その色あいから 暗~い 安~い 地味~と連想していませんか?
一月の誕生石はガーネット
「一月に生まれて損した~」って思っていませんか?
今、頭に描いているのは、おそらくアルマンディン・ガーネットです
ガーネットにあまり、良いイメージを持っていない方
そばにガーネットがあれば、ペンライトを当てて下さい
きっとそいつは、奥底からキラキラっと真っ赤に燃えてきますから
アルマンディン???聞きなれない名前ですね
アルマンディン・ガーネットの他にも
パイロープ・ガーネット
スペサルティン・ガーネット
グロッシュラー・ガーネット
アンドラダイド・ガーネット
ウバロバイト・ガーネット
があります
ガーネットは一人じゃぁないのです
実は、ガーネットは、グループの名前です
みんなまとめて、「ガーネット」って、呼んでいます
「あれっ」。。。ロードライト・ガーネットがない?
と思った方。。。「さすがです」
ロードライト・ガーネットはアルマンディン・ガーネットと
パイロープ・ガーネットが混ざり合い
綺麗なパープル色になったガーネットを言います
先程、紹介した六つのガーネットもそれぞれ混ざり合います
まるで友達が友達を呼んで、友達を作りそしてまた、友達が出来るような
アルマンディン・ガーネットは、地味な宝石です
しかし、多くの仲間がいます
新しい友人を作る性格を持っています
一見、地味そうに見えて
友達がいっぱいいるあいつ
光を当てると、心の底から輝いて見えるあいつ
そんな、ガーネットなやつ
あなたのそばにも、いませんか?
『宝石の特殊効果』
チェンジ・オブ・カラー(変色効果)
日光または、蛍光灯下と白熱光(通常の電球)
下での明瞭に色が違って
見える宝石をいいます。
悪く言えば周りの光の環境によって
態度(性格)が変わる人
よく言えば環境の変化に対応できる人は
カラー・チェンジな人って感じです。
悪く言われるか良く言われるかは
その人の人格によって
かわるのかも知れませんね。
アレキサンドライト、ガーネット、トルマリン、サファイアなど
シャトヤンシー(キャッツアイ効果)
猫の瞳に似た動きのある鮮明な光の帯(カボッション・カット)
光の帯は本来は菅状(針状)インクルージョンすなわち
いらないもの(結晶の欠点)なのです。
でもいらないものでも真っ直ぐに何本もあると
そのいらないものが原因で『光の帯』を放ちます。
欠点もそこまで行けば長所になります。
真っ直ぐな欠点をいっぱい持った人
その欠点があるからこそアイツなのです。
クリソベリル、トルマリン、アパタイト、オパールなど
アステリズム(スター効果)
共通の中心から放射線状に伸びた数本の光の帯(カボション・カット)
シャトヤンシーな奴に似ていますが
短い針状の欠点が3方向に分かれています。
ですから、スターとなって現れます。
短い針状の欠点が3方向は顕微鏡で見ると一見
バラバラに点在しているように見えます。
ですから、肉眼ではスキットしていないように感じます。
しかし、スポットライトが当たるとその存在感は抜群です。
小さな欠点がいくつもあって『パッと』しないけど
いざライトが当たると存在感を増す人きっとあなたのそばにいますよ。
そんな人は顕微鏡で見てはいけません。
そっと、光に当てて見てください。
ルビー、サファイア、ガーネット、ダイオプサイド、クォーツなど
プレイ・オブ・カラー(遊色効果)
オパールに見られる虹色のきらめき
白色光をスペクトルカラーに分解するの層によって生じます。
微小なシリカ球が綺麗に並んで他の宝石には
見られない虹色の輝きをオパールは見せてくれます。
でも、それには奇跡が隠されています。
綺麗なオパールが出来上がるまでに気の遠くなるような
微小なシリカの積み重ね作業が行われたということです。
微小なシリカが乱れてはいくら多く存在してもあの輝きは存在しません。
小さな努力をコツコツと綺麗に積み重ねてこそ
誰にもまねの出来ない美しさが出来上がります。
大きなことが例え出来なくてもいいのです。積み重ねていけば・・・
オパール
オリエント効果(真珠効果)
真珠層によって見られる温かみのある光の効果
表面反射及び、層状構造による光の反射と干渉によります。
真珠層の暖かい輝きは貝の『生きる』営みからうまれてきます。
異物が体内に入れば苦しいです。
それは他人が入れたものでも
自分の責任において入ってきたものでも
やはり異物は苦しいです。
そこで吐き出してしまえば楽になったでしょう。
でも、それでは何も存在しませんでした。
人も時として、吐き出してはいけないものいけないときがあります。
それをしっかり自分で感じることがたいせつです。
ゆっくりとゆっくりと成長していけば
その先には、きっと暖かい光を放つ人になっています。
真珠
アデュラレッセンス(ムーンストーン効果)
シャープな輝きではなく月の光に似た包まれる
ような独特の光の動きを言います。
2種類のフェルドスパーの構造が
交互に層になり光の干渉と反射によって起こります。
ムーンストーンのように包まれるような光を放つ人は自分本位ではなく
相手を尊重する気持があるからうまれてきます。
決して高価な宝石ではありませんがみんなから愛されています。
ムーンストーン
ラブラドレッセンス
青い光と緑の光を強烈に放つラブラドライト
幾重のも積み重ねた層と無数のインクルージョンがその光の原因です。
無数の困難を見事に独特の光に変えました。
ラブラドライト
アベンチュレッセンス
小さな小さな薄い結晶の反射によってキラキラひかります。
決して高価な宝石ではないですが
『わたしはここよ』とアピールしています。
アベンチュリン・クォーツ・サンストーン
イリデッセンス
宝石の組織による虹色の輝きと
亀裂による虹色の輝きがあります。
どちらも綺麗な輝きですが亀裂による輝きは
危うい美しさです。
そんな美しさを持った女性は大切に守ってあげなければなりません。
アイリス・クオーツ、アンモライト、ファイア・アゲート
(宝石の特殊効果は、様々なメカニズムにより生じる)
宝石の特殊効果は記述したようにそのほとんどがインクルージョンです。本来、宝石にインクルージョンがあると評価は下がります。言うなればインクルージョンは宝石の欠点です。しかし、そのインクルージョンすなわち欠点である個性を生かすことによってわれわれを魅了する宝石に変わります。
個性は欠点でもあり長所でもあります。欠点も自信がつけば特殊効果です。魅力的な人に代わる宝石人です。
『ジルコン』
「風信子」。。。なんとなく心地よい文字だと思いませんか?
この文字を読める方は少ないのではないのでしょうか?
ちなみに中国語でfengxinziと発音します
なんとなく発音から分かりますか?
これは日本ではヒヤシンスと読みます
この心地よい発音の「風信子」に「石」をつけると「風信子石」となります
宝石業界では「ジルコン」という宝石を意味します
「ジルコン」の日本名は「風信子石」です
ジルコンはれっきとした天然宝石
一般的にはジルコンにはダイヤモンドの模造石とかニセモノというイメージがありますが
れっきとした「天然宝石」です
勘違いされている方が多いようですが、それはダイヤモンドの模造石として人工的に造られたキュービック・ジルコニアと混同しているからかもしれません
よく持ち込まれた宝石がこのジルコンで、鑑定依頼の方に「天然ジルコン」と告げると偽物かと残念がられました
ジルコンをイヤモンドと言って販売すれば、偽物という考え方は成り立ちますが
「ジルコン」と言っただけで、ショックをうけてしまうのでは、あまりにもこの天然宝石である「ジルコン」が可哀想な気がします
ジルコンは46億年前地球が誕生した後10~億年経って誕生した立派な歴史を持つ「天然宝石」なのですから(依頼の方はジルコンを人工石だと思っていたそうです)
このようにジルコンは天然宝石であるにも関わらず誤解されている方が多いようなので「ジルコン」の名誉のため今回はこのジルコンについてお話したいと思います
『ジルコン』
現在、市場で多く出回っているダイヤモンドの模造石としてキュービック・ジルコニアがあります
(人工石モアッサナイトも話題をよびましたが・・・)
今ではこの人工キュービック・ジルコニアが一見ダイヤモンドに一番良く似ており価格も低価格で安定しているため他のダイヤモンドの模造石は影を潜めてしまっている程になりました
キュービック・ジルコニアとジルコンの見分け方
さて、このキュービック・ジルコニアですが化学組成はZrO2です
今回の主役であるジルコンはZrSiO2、即ちジルコニウムの珪酸塩であることが化学組成からお分かりいただけると思います
名前も似ているし、ZrO2とSiの化合物がジルコンですから混同するのも無理はないかもしれません
ごく簡単にこの二つを見分ける方法は
その宝石を通して文字か、何か見てみるとジルコンは二重にダブってみえます
これはキュービック・ジルコニアが単屈折に対してジルコンは複屈折という特性の違いからなる現象です
(写真を見てください これは最も分かりやすい複屈折の現象で、物が二重に重なっていることが分かります 例えばダイヤモンドやキュービック・ジルコニアにはこのようなことは起こりません 写真はカルサイトという鉱物です)
では次にジルコンの本質に迫ってみたいと思います
